政治資金監査制度 

「政治資金規正法」が平成19年12月に改正され、国会議員関係政治団体(注1)は、収支報告書、会計帳簿、領収書等について「登録政治資金監査人」による政治資金監査(注2)を受けることが義務付けられました。
  なお、政治団体の会計責任者(注3)は、政治団体における政治資金の収支の状況を常に把握しておくため会計帳簿を備えて、すべての収入、支出、金銭等の運用について所定の事項を記載しなければなりません。

(注1)国会議員関係政治団体
平成19年12月の政治資金規正法改正により、対象となる政治団体を明確にするため、「国会議員関係政治団体」が定義され、国会議員の氏名と政治団体の名称などを公表することとされました。具体的には、次に該当する政治団体が国会議員関係政治団体となります。
政党、政治資金団体及び政策研究団体以外の政治団体で、次の(1)~(3)の団体が国会議員関係政治団体となります。

  • 1号団体
    国会議員・候補者(候補者となろうとする者を含む。)が代表者である資金管理団体その他の政治団体
  • 2号団体
    租税特別措置法に規定する寄付金控除の適用を受ける政治団体のうち、特定の国会議員・候補者を推薦し、又は支持することを本来の目的とする政治団体
  • みなし1号団体
    国会議員に係る選挙区の区域を単位として設けられる政党支部のうち、国会議員・候補者が代表者である支部については(1)と同じ扱いになります。

(注2)政治資金監査

  • 収支報告に関する特例
    国会議員関係政治団体である間に行った支出にあっては、人件費以外の経費のうち一件1万円を超えるものについて、収支報告書に記載するとともに、領収書等の写しを併せて提出しなければなりません(領収書の徴収義務はすべての支出に係ります。)。
    また、収支報告書の提出期限は、翌年5月末日(1月から5月までの間に総選挙等があった場合は、6月末日)までとされています。
  • 登録政治資金監査人による政治資金監査
    収支報告書を提出するときは、その支出に関し、あらかじめ、収支報告書、会計帳簿、領収書等などについて、登録政治資金監査人による政治資金監査を受けなければなりません。
    国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書の提出に併せて、登録政治資金監査人が作成した政治資金監査報告書を提出しなければなりません。

(注3)会計責任者

  • 会計責任者
    国会議員関係政治団体の収支について一切の責任を負うべき人が会計責任者であって、当該政治団体の代表者と車の両輪の関係にあり、経理について全面的な責任と権限を持っています。
  • 会計責任者の職務
    会計責任者は、国会議員関係政治団体の政治活動に伴う会計帳簿の記載、収支報告書の作成・政治資金監査・収支報告などの一連の事務処理を行うことになります。
    なお、会計帳簿を備えない、記載すべきことを記載しない、虚偽の記載をする、といった行為は法に触れることになります。
  • 会計責任者の職務の概要は次の通りです。
    1. 会計帳簿の備付け及び記載
      会計帳簿には収入簿、支出簿、運用簿があり、会計責任者は、すべての収入や支出について、会計帳簿に必要事項を記載し、政治資金の状況を常に明確にさせておきます。
      会計帳簿は12月31日(解散等の場合には、その日)現在で締め切り、会計責任者において署名押印します。
    2. 収支報告書等の作成
      会計責任者は、締め切った会計帳簿に基づき、収支報告書、領収証を徴し難かった支出(徴難明細書)、支出目的書、領収証等亡失等一覧表を作成します。
    3. 政治資金監査
      会計責任者は、作成した収支報告書、会計帳簿等について登録政治資金監査人による政治資金監査を受けます。
    4. 収支報告書の提出
      会計責任者は、5月31日までに、収支報告書、領収書等の写し等、登録政治資金監査人が作成した政治資金監査報告書を主たる事務所の所在地の都道府県選挙管理委員会(総務省届出団体の場合は総務省)に提出することとされています。
      この収支報告書を2年連続して提出していない政治団体は、提出期限を経過した日以後は、設立の届出をしていないものとみなされるため、政治活動のために寄附を受け、又は支出することが禁止されます。
    5. 会計帳簿等の保存義務等
      総務大臣又は都道府県選管は、11月30日までに、収支報告書の要旨を官報又は公報への掲載等により公表します。
      会計責任者は、収支報告書の要旨が公表された日から3年間、会計帳簿、明細書、領収書等、振込明細書等を保存しなければなりません。
    6. 少額領収証等の写しの開示請求等への対応
      何人も要旨公表された日から3年間、次の請求ができます。
      ① 収支報告書等の閲覧、写しの交付
      ② 領収書等の写しの開示(1件1万円超)
      ③ 少額領収書等の写しの開示(1件1万円以下)

      ①、②は既に行政庁に提出済みのものであり、行政庁限りで対応されるものですが、③は収支報告書の要旨の公表後、開示請求があって初めて国会議員関係政治団体が提出しなければならないものです。
      ③の開示請求があった場合、行政庁から国会議員関係政治団体に対し、少額領収書等の写しの提出命令がなされ、原則として、命令後20日以内に行政庁に提出しなければなりません。